zarazara

2025.04.16

食べる事

ミロク言語聴覚士Kです。


趣味はお菓子作りです。


リハビリの一環で嚥下リハビリなど口腔機能を維持、改善を目的に関わることがあります。

病院勤務をしていた時期は「まさに、今、食べたい」という今現在の能力に対してリハビリをすることが多かったのですが、外来リハビリがメインとなった現在は、「今とこれから」を考えながら関わることが増えたように感じています。

 

ニードは在宅での当たり前の日常生活です。いつもと変わらない生活を送ることができる、というのが第一なのですが、様々な理由で食事のバランスが崩れ、いつの間にか…というケースが少なくないように感じます。

これは以前デイケアなど生活期リハビリに関わるようになってから特に感じている事です。

 

「運動しなくなったから筋肉が減って…」

 

というのがよく言われていることなのですが、『始まりはどこなのか』が気になっています。

 

運動しなくなった方に話を伺うと大体食事量も減ってしまっています。動かなくなったから食べなくなった、とは言いますが、『先に食べなくなった』が来ているのではないか、という部分が気になるのです。

 

お話を伺うと、どっちが先かはあいまいです。おそらく意識することは少ないのだと思われます。

原因としては加齢、夏バテなどが多いような感じですが、夏バテはともかく加齢による食欲減衰を事前に察知して止める、というのは非常に難しいと思われます。

 

食事量が減ってきた人に食事量を増やしましょうというのは簡単ですが、実行が難しいと感じています。

理由はどうあれ『食べたくないものを無理矢理食べる』というのは楽しみのひとつを奪いかねないからです。

 

口から食べられる、ということはとても幸せなことなんだ

 

病院勤務の時、色んな方々の表情を見てきて、この事を強く感じました。

だからこそ、必要だとわかっていても無理矢理食べることはあまり勧めたくはありません。

 

以前食べることについて書いた際に入れ歯や歯みがきなどの口腔環境を整える事や食事の姿勢についてお伝えしましたが、食事についても工夫が可能です。

 

固いものは柔らかくする(米飯→お粥など)、柔らかい食材を使う(野菜は長く火を入れて柔らかくする)、少しとろみをつける(カレーやあんかけなど)。

こういった工夫で食事量が改善することもあります。

 

また、食べるということは欲求と考えると、運動ではなく意欲の部分での影響と取ることもできます。

意欲は脳の働きです。何かしたい、とうい外向きの反応が我々には備わっています。

しかし、何もしないと何もしたくなくなります。

この、何もしないというのは自分から動くという能動的な部分が減ることです。

毎日必要な生活動作も、当たり前になっていくことで外から得られる刺激が減ってしまいます。

 

外からの刺激に反応することで楽しい、嬉しいという感情も連動していくのですが、そういった刺激が減ることで脳の反応が鈍くなってしまいます。

 

すぐに取り組むことができるのは、趣味活動を持つことです。友人と話すなど、コミュニケーション機会を持つことも良いことです。外部刺激を多く得ることができ、食事を含めた意欲に繋がることもあります。

 

食べる、という一言で説明できるこの行動を掘り下げてみると運動だけではなく意欲という脳機能も大きく関わっています。「食べられない」という状態になってから相談されることが多いですが、予防できるのが一番です。

山形は雪国なので冬場はどうしても活動範囲が制限されて室内に籠りがちになってしまいます。

暖かくなるこの季節、散歩を始めたり、趣味活動をしたりと何かを始める良い時期です。生活習慣を見直し、新しいことを始めてみませんか?