2024.03.11
言語聴覚士の仕事
言語聴覚士のリハビリってどんなものがあるでしょう?
正直イメージがつきにくい方もいると思います。
今回は念願の当院でも対応可能になった言語聴覚士さんの仕事について簡単にまとめてみます。
言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist、略称: ST)は、言語、聴覚、認知、発達、摂食・嚥下などに関わる障害に対して、その発現メカニズムを明らかにし、検査と評価を実施し、必要に応じて訓練や指導、支援などを行う専門職です。
日本では97年に国家資格と認定された比較的新しい医療職と言えますね。
言葉がうまく話せない、認知症がすすんできた、ご飯がうまく呑み込めないなどの症状に対してリハビリを行うスペシャリストです。
最近その需要は本当に高まっています。
なぜなら、STさんの仕事は「目には見えないけども人間の本質的な部分」の治療を行うからだと思っています。
歩くという動作はもちろん人間の最たる機能の1つであることは間違いないですが、食べる・話す・考えるといった行動も欠かせない
生活の要素となってきます。 そういった症状に対して本質的なアプローチをすることで、決して完治を目指すのではなく
これからの社会生活(新しい未来)の中で、どう活かしていくかをプログラムすることで、患者さんの生活に対する
満足度を高めていくという仕事だと私自身は考えています。
●言語障害のリハビリ:発話や理解、読み書きなどの言語能力に問題がある人に対して、言語機能の回復や代償方法の習得を目指します。例えば、脳卒中や外傷性脳損傷などで失語症になった人に対して、言葉を思い出すトレーニングやパソコンや絵本などを使ったコミュニケーション支援を行います。
嚥下障害とは、食べ物や飲み物を飲み込むときに、気管に入ってしまったり、口からこぼれたりする状態のことです。嚥下障害は、加齢や病気、事故などによって起こることがあります。嚥下障害があると、栄養不足や脱水、肺炎などの合併症を引き起こす可能性があります。また、食事の楽しみが減ったり、社会的な活動に支障をきたしたりすることもあります。なので嚥下リハビリに対する期待は近年大きく高まっているのです。
●嚥下リハビリ:障害の原因や程度を評価し、個々の状態に合わせたリハビリプログラムを作成します。主な内容としては、、
- 口腔体操:口や舌の筋力や運動性を高めるための運動。例えば、舌を出したり引っ込めたりする、口角を上げたり下げたりするなど。
- 咽頭運動:喉頭を上げる筋肉を鍛えるための運動。例えば、くしゃみやせきをする、声を出すなど。
- 食事指導:食べ物や飲み物の種類や量、速度などを調整することで、嚥下しやすくする方法。
- 姿勢指導:頭や体の角度を変えることで、嚥下しやすくする方法。例えば、頭を前かがみにする、横向きに寝るなどが。
また忘れてならない障害の1つに高次脳機能障害があります。
これはテレビはマスコミでも時々話題になることも最近増えていて、名前は聞いたことある方もいるかもしれません。
具体的には脳卒中や頭部外傷などによって脳が損傷を受け、認知や知覚に関連するさまざまな障害が生じる状態です。
記憶障害や注意障害などはわかりますが、他には
そこにある人物の顔や物を認識しない失認や空間無視。
1つ1つの動作はできるのに、1連の流れ作業はできなくなる失行。など特別な症状があったりします。
リハビリ内容としては、、
-機能訓練:低下した能力を訓練し、改善や機能向上を目指す。例えば、注意障害の場合には集中力を向上させるための訓練。
-代償手段の獲得:残存している能力を最大限に活かすために、外部補助を行う。予定通りに動くためにアラームやタイマーを使用するなど。
-環境の調整:生活環境や人間関係の調整がとても重要で、物の定位置を決めておくことや、伝え方や言葉の統一などが効果的。
-内的記憶戦略法:イメージや視覚情報から言語を導き出す方法。例えば、顔ー名前連想法や身体の部位とものを関連付けるペグ法など。
-外的補助手段:メモやスケジュール機能を使って記憶を補う。道具の使用方法を覚えることで効果的に記録できる。
-その他の方法:日常生活に特化した情報を覚える方法や手がかりを徐々に減らしていく手法など。
このように具体的に治療することを当然目指しながらも社会や生活に対する環境設定の要素も大きくなっています。
これは高次脳機能障害という病態自体が、一見健常に見えるため「ミス」や「怠慢」という評価につながりかねない
社会全体の理解がまだ不十分という背景もあります。
こういった問題の啓発活動はこれからも微力ながら行っていくつもりですし、まずはその一歩が当院でも始まったのかなという状態です。
少しでも興味のある方はクリニックまでお問合せください。