zarazara

2023.03.16

医師国家試験

少し遅れましたが第117回医師国家試験の合格発表が先日ありました。

受験生の皆さんお疲れさまでした。そして合格した先生方改めておめでとうございます。

2024年以降超高齢化社会を本格的に迎える日本にとって医療も大きな変革期を迎えています。

皆さんの若い力が必ず必要です!

心から応援しています。


そんな私も現在まで10年以上週替わりで医学生を指導する立場にありました。

毎年多くの学生さんと接する中で共通して思う事は「とにかく真面目」です。

常にタブレット端末を携帯し、わからないことがあればその場でググり、

ノートにまとめたりしています。

これは学生さんには絶対答えられないだろうなあと、いたずら心での質問にも

あっさり答えて、逆にこちらが驚かされることも少なくありません。


しかし当然ジェネレーションギャップも年々広がります(泣)

B’zやミスチル、SMAPを存在くらいしか知りません。

あゆの尻尾も知りません。

「とりあえず生」ではなく「とりあえずハイボールかカシオレ」らしいです💦


それがこちらにとっても新鮮で、今週はどんな学生さんと出会えてどんな話ができるんだろうと

ワクワクする気持ちがありますし、そこから得られる気付きというのは時にとても貴重だったりもします。


今後ミロクの中でも学生さんや若い力との関りはスタッフの士気のためにも持ち続けたいので

そういったシステムも作っていけたらと思っています。


さて、話は少し変わりまして、


医者って色々種類ありませんか?


よく聞かれる質問です。

特に病院で働いている他職種の方々や患者さんからの質問が多いです。

研修医ってことは学生さんなんですよね?」など聞かれる事もあります💦

確かに一口に医者と言っても独特な複雑さがあるので、

簡単にまとめてみます。


私の母校を例にします。


まず医学部生活6年の内3年間は座学を中心に勉強し

4年生から6年生の夏頃まで病院での実習に重きを置いたスタイルになってきます。

大学病院だけでなく様々な関連病院で1週間~4週間単位で、基本診療科や希望科で実習します。

この間の1年半くらいの間を‘student doctor` と言います。

患者さんに接する現場にいる以上、医療者としての自覚を高めようという趣旨から

doctorという呼び名になりますが、基本は学生(医師の卵)です。


その後6年生の最後に医師国家試験を受診し、それに合格すると晴れて医者になります。


初期臨床研修医:いわゆる研修医と呼ばれてます。 卵じゃなくニワトリになりました。

医者になりたての2年間は自分の専門分野だけでなく内科や外科を中心としたいくつかの診療科を

数か月単位でローテートしましょう。という平成16年から開始された制度です。

これは推奨ではなく義務です。


それ以前は国家試験合格直後から専門とする分野の大学病院の「医局」に属して

先輩医師の指導を直接賜りながら研鑽を積んでいくというシステムでした。


それを「自分の専門分野だけでなく、内科や救急など最低限のプライマリー(初期診断)や全身管理は覚えておく必要がありますね」といった理由から、臨床研修制度が開始になりました。


制度の是非は置いておいて、この制度によってとりあえず2年間は医局に属さずに

ある程度希望する病院で研修できるということになりました。

それが「マッチング制度」というものです。


いわゆる就職活動です。学生さん(student doctor)が自分が研修医として働きたい病院を

探して選んで、面接や小論文などを試験を得て、合格すれば就職するといったものです。

これは将来の専門が決まっていれば、その医局に属した状態で、働くことも可能ですし、

私個人としてもその方がいいのかなと思っておりますが


「専門性を決めるための猶予が2年間伸びた」という考え方が一般的のようです。

実際に2年間、病院で研修しながら様々な診療科の先生に指導賜り、その中で自分が目指す専門分野を見つけていくというものです。


後期研修医:初期研修終了後から専門医試験を合格するまでの3-6年くらいの間をさします。

我々も研修医とは呼ばなくなります。

初期研修医と違い、様々な科をローテートはせず、自分の診療科に特化して診察します。

初期研修の2年間で「自分は●●医になる」と決めた場合、国が決めた●●科の専門医試験受験のための

研修プログラムを消化しなければならず、そのプログラムを頑張っている期間のことです。

そのプログラムは当然専門性の高いものも入ってきますので、この段階から医局に所属して先輩方に直接指導頂くといったパターンが主流になってきているように思います。


そして研修プログラムを経て

診療科にもよりますが医者になって5-8年(後期研修開始後3-6年)くらいで専門医試験を受験することになります。


この専門医試験に合格してやっと「●●科専門医です」を名乗れることになります。


端的にまとめましたが、クイズ形式で整理してみましょう。


Q「国家試験は来年なんですが、病院で研修させてもらっています

A「学生さん(student doctor)です。」


Q「内科希望なんですが、今は外科で研修させてもらってます

A「初期研修医。 ローテーションの一環で外科で勉強しているという意味です」


Q「もうすぐ●●科専門医試験なので、こちらの病院で仕事しながら勉強させてもらってます

A「後期研修医。研修プログラムとして研鑽中。研修医と名前は付きますが立派な●●医です」


Q「●●科の医局にはすでに入局してるんですが、初期研修はこちらの病院でしてます

A「将来的に●●科専門医になりたいという希望がはっきりとしているので、大学の医局に属してはいるが、

初期研修の2年間だけ今の病院で研修してますという意味」


なかなか難しいですね💦


ですが、医師として成長していく中で患者さんや地域のみなさんの協力は必須であり、こういった事も

少しずつ理解していただきながら常に感謝を忘れず邁進していけたらと思います。