zarazara

2026.01.26

認知症のMRI検査について

今回は【認知症のMRI検査について】というテーマで「なぜ認知症の検査にMRIが必要なのか?」そして「MRI画像から何がわかるのか?」などについて簡単に紹介していきたいと思います。

 

○頭部MRI検査で何がわかるのか?

認知症の検査において、問診や認知機能テストと同じくらい重要なのが、脳の形や状態を見る画像検査です。特に認知症の検査の場合には、以下の点に注目して検査を行います。

 

・脳の「萎縮(いしゅく)」

 脳の隙間が広がっていないか、特定の場所が痩せて小さくなっていないかを確認します。

 

脳の「血流障害」や「梗塞」「出血」などの脳血管障害

隠れ脳梗塞や出血の跡、血管が詰まっている場所がないかを確認します。

 

頭部MRI検査では、強力な磁気と電波を使って、脳の断面を画像として詳しく鮮明に映し出すことができるため、脳のどの場所で萎縮血管障害などの変化が起きているかを詳細に特定することができます。こうした微細な変化を画像として確認することで認知症のタイプや進行状態などを把握するための重要な検査となります。

 

○MRI画像と認知症の種類

「認知症」とひとくちに言っても、実は原因によっていくつかのタイプに分かれており、MRI画像は認知症のタイプを見分けるのにも非常に役に立ちます。

 

① アルツハイマー型認知症

認知症のなかで最も多いタイプがアルツハイマー型認知症です。この場合、脳の奥深くにある記憶を司る「海馬(かいば)」という小さな部分が、健康な状態に比べて徐々に痩せて(萎縮して)くるのが特徴であり、MRI検査では比較的早い段階で評価することができます。

② 脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血など脳血管の障害が原因で起こります。MRI画像では過去の小さな脳梗塞の跡や、慢性的に血流が悪くなっている部分を白く描出することで評価することができます。

③ レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症など

その他のタイプでも、脳の血流が低下している場所や萎縮のパターンを見ることで、認知症評価の手がかりを得ることができます。

 

 

○MRI画像データを用いた認知症評価支援システム「VSRADR

認知症の検査のひとつに、MRI画像データを用いて脳の萎縮の程度を調べる「VSRADR(ブイエスラド)」という検査があります。このVSRADRはMRI画像データから脳の特定領域における萎縮の程度をコンピュータ解析する認知症評価支援システムで、アルツハイマー型認知症の早期発見やレビー小体型認知症の鑑別に非常に役立ちます。

具体的には、頭部MRI検査の画像データから、脳の「海馬傍回」や「背側脳幹」といわれる領域をコンピュータで解析し、健常人の脳画像データベースと比較することで、萎縮の程度を客観的な数値で示すことができます。

特に海馬傍回のような非常に小さな領域は、医師の目視だけでは萎縮の程度を判断することが非常に困難であるため、VSRADRで萎縮の程度を客観的な数値で評価することで、初期の段階から海馬傍回周辺の萎縮がみられるアルツハイマー型認知症の早期発見や進行状況の確認をすることができます。また、背側脳幹の萎縮は、アルツハイマー型認知症の比べ、レビー小体型認知症で特徴的にみられることがあるため、これらを鑑別するのに役立ちます。



○VSRADRを受けるときの注意点

VSRADRの検査を受ける上で以下の注意点があります。

 

【VSRADRだけでは認知症の診断はできない】

あくまでもVSRADRは特定領域の萎縮の程度を調べるための検査であって、脳の萎縮が確認できたからといって認知症と診断することはできません。認知症の診断は、問診による症状や経過の確認、認知機能テストなど他の検査結果を総合的に診断する必要があります。また、アルツハイマー型認知症だけではなく前頭側頭型認知症など他の疾患でも海馬傍回周辺の萎縮がみられるため、VSRADRの結果だけでアルツハイマー型認知症と判断することはできません。

 

【50歳未満の方のVSRADRは注意が必要】

次に検査を受けられる年齢にも注意が必要となります。VSRADRの検査は原則50歳以上の方が対象となります。これは萎縮の程度を比較するための脳画像データベースが50歳以上の健常者で構成されているため、50歳未満の方では、擬陽性(脳が萎縮してないのに、萎縮しているという結果)の結果となることがあるため注意が必要となります。


【MRI検査を受けられない方はVSRADRを実施できない】

VSRADRは、MRIの画像データが必要となるため、原則MRI検査とセットでの実施となります。したがって、MRI検査のできない方(心臓ペースメーカーなどの体内金属がある方、閉所恐怖症など)はVSRADRを実施することができません。

 

 

いかがだったでしょうか。今回は「認知症のMRI検査について」というテーマで説明させていただきました。現在の高齢化社会において認知症へ関心が非常に高まっていますが、やはり認知症の早期発見・早期治療が今後重要になってきます。この説明が少しでも安心して安全にMRI検査を受けていただける手助けになり、認知症検査のきっかけとなれば幸いです。次回の記事も是非ご覧ください。