2025.02.19
頭部MRI検査ってどんな検査?(part1)
皆さんも一度は「MRI」という検査の名前は聞いたことがあると思います。しかし、実際にMRIはどんな検査で何が分かるのか知らない方も多く、また、MRIは「音がうるさい」とか「検査時間が長い」、「狭くて暗くて怖い」というネガティブなイメージを持つ方も多くいらっしゃいます。
そこで今回のテーマとしては少しでもMRIについて知ってもらい、安心して安全に検査を受けて頂くために、「頭部MRI」について出来るだけ分かりやすく、皆さんが知りたい事をお伝えしていきたいと思います。
はじめにMRI( Magnetic Resonance Imaging )とは、エックス線(放射線)を使用せず、非常に強い磁石と電磁波を使って、体内の情報をいろいろな断面像として画像化する検査です。
MRIの詳しい原理については複雑で難解ですので割愛させていただきますが、出来るだけ簡単に説明すると、私たちの人体は、様々な「原子」からできていて、MRIはその中でも水素原子を構成する「プロトン」と呼ばれる原子核をターゲットにしています。強い磁石による磁場の力と電磁波を利用してプロトンから発生する微弱な信号を装置で受信し、その受診した信号からコンピュータでプロトンの密度や状態の違いを計算し、体内の情報を画像化し診断に役立てています。このプロトンをターゲットとして利用するMRIは、CT検査に比べ骨などによる画像への影響が少ないために、頭蓋骨で囲まれているような脳の検査に非常に適しています。
それでは頭部MRIの特徴や気になる事をなるべく分かりやすく簡単に説明していきたいと思います。
○なぜMRIの検査は音がうるさいの?
まずMRIで皆さんが一番気になるのが、検査時の非常にうるさい騒音だと思います。個人による感じ方の違いはありますが、MRIの検査時には、電車が通過するガード下やうるさい工事現場の騒音レベル(きわめてうるさい)に相当する100 dbほどの騒音が出ます。この検査時の騒音の原因は、傾斜磁場コイルという磁石の振動によるものです。MRIでは体内の目的とする断面を撮像する際、傾斜磁場コイルに高速で大きな電流を流すため、傾斜磁場コイルに大きな力が加わり振動することで、「ガンガン・ドンドン」のような大きな騒音が発生してしまいます。
MRIの装置メーカーや検査の種類などによっても騒音の程度は異なりますが、MRIの特性上どうしても騒音が発生してしまいます。特に頭の検査の際には、頭全体が装置の中に入ってしまうため、ヘッドホンや耳栓などで聴覚保護を行う必要があります。
当クリニックでは検査の際に、耳栓をして頂き、その上から頭部固定用クッションで耳を覆うことで騒音を更に和らげ、できるだけMRIの検査を受けやすい環境づくりを心掛けています。
○なぜMRIの検査時間は長いの?
MRIの検査で時間がかかる理由としては、体内の目的とする断面を撮像するために、冒頭でも説明したようにプロトンから発生する信号が微弱なため繰り返し信号を収集する必要があるのと、同じ断面でもいろいろ条件で撮像するために結果として検査時間が長くなってしまいます。
頭部のCT検査は大体5分(造影検査の場合には20分)程度ですが、MRIの場合だと、基本的に数種類の条件で撮像するため、全体で10~30分程度の検査時間がかかってしまいます(症状や検査目的によって撮像条件が異なります)。このように検査時間は多少長くはなりますが、いろいろな条件で撮像することによって脳内の様々な状態を検査することができます。
○頭部MRIを検査すると何がわかるの?
頭部MRIでは、同じ位置の断面像でもいろいろと撮像条件を変えて検査していきます。条件を変えて撮像することで、脳内の病変や血管の状態などを詳しく検査することができます。
基本的な頭部MRIでは、主に次のことを検査することができます。
l 脳梗塞の有無や状態
l 脳出血の有無や状態
l 脳腫瘍の有無や種類
l 脳血管の状態(動脈瘤、狭窄など)
l 認知症の兆候(脳萎縮の程度)
また、いろいろな条件で撮像した画像を組み合わせて比較することで発症時期の推定や病変の状態、腫瘍の種類などより詳しい情報を得ることが可能となります。では、実際に検査で撮像する基本的な画像を以下に示します(なお、詳しい画像の種類や説明などについては長くなってしまうので、今回は割愛いたします)。
このように頭部MRIでは、いろいろな条件で撮像を行い、診断に有効な検査を行っています。特に脳梗塞の早期発見にはDWI(拡散強調画像)という画像が非常に有効で、発症後わずか30分程度で梗塞部位の変化を捉えることができます。また、MRA(MRアンギオグラフィー)では、造影剤を使用しないで脳内の血管を描出することができるため、造影剤の注射や副作用を心配することなく、動脈瘤や狭窄部位のスクリーニングを行うのに非常に有効な検査となります。
その他にもいろいろと特殊な検査もありますが、今回はここまでにして、次回の「頭部MRIってどんな検査?(その弐)」で、頭部MRIを受けるときの注意点や費用、今回紹介できなかった他の検査について、CT検査との比較も交えながら説明していきたいと思います。