2026.08.05
慢性疼痛と認知行動療法
病院に行っても「異常なし」。それでも痛みだけは消えない。そんな経験、ありませんか。実はその痛み、体だけの問題ではないかもしれません。今回はその要因の一つと、痛みとの付き合い方について説明したいと思います。
1. もしかして、こんな痛みに悩んでいませんか?
長引く痛みには、本人にしかわからない辛さがあります。今日は、そんな痛みとの新しい付き合い方をお伝えします。
病院や整体を回っても、原因がはっきりしない
レントゲンやMRIでは特に指摘されない。整形外科や整体を何件も回った。そんな方は少なくありません。
「気のせい」「もっと頑張れば」と言われる辛さ
家族や職場の人に痛みのことを伝えても「気のせいじゃない?」と言われ、うまく伝わらずに黙ってしまう。痛みは目に見えないからこそ、余計に辛いものです。
動くのが怖くて、外出や趣味を諦めてしまった
「また痛くなるかも」という不安から、少しずつ行動範囲が狭くなっていく。気づけば家にいる時間ばかり増えていた、という声もよく聞きます。
2. なぜ、痛みは長引いてしまうのか
痛みが長引く背景には、様々な要因が重なっていることが多いです。身体の痛みの原因がはっきりしている場合はその因子を取り除くことは最優先に行うべきです。しかしここでは、痛みに関わる身体以外の要因の一部をご紹介します。
- 脳と心が痛みの感じ方に関わっている
不安やストレスが強いと、同じ刺激でも痛みを強く感じやすくなります。
- 「痛み→痛みに対する恐怖心→動かさない→痛みに注意が向く→さらに敏感に」という悪循環
痛みに対しての恐怖心から動かさない期間が長くなるほど、体は痛みに敏感になっていきます。この流れを断ち切ることで回復につながることがあります。
3. 認知行動療法(CBT)とは、どんなものか
この悪循環を断ち切る方法の一つが、認知行動療法(CBT)です。考え方や行動に働きかけながら、痛みとの付き合い方を見つけていく治療法です。一朝一夕で痛みが改善する手法ではありませんが、時間をかければ効果が感じられる方も多いです。
- 「痛みの捉え方」に働きかける治療法
「動いたら悪化する」という思い込みを、一つずつ見直していきます。
- 考え方のクセに気づき、少しずつ変えていく
「痛み=危険」という考えを、「痛みはあるけど動いて大丈夫」に変えていくイメージです。
- 運動療法や日常生活とどう組み合わせるか
CBTだけで完結するものではなく、リハビリの運動と組み合わせることで効果を発揮します。
4. CBTが、実際の生活にどう役立つのか
CBTを取り入れると、痛みへの向き合い方が変わり、生活の幅が広がっていきます。
- 動くことへの恐怖が少しずつ和らぐ
最初は5分の散歩も怖かった方が、だんだん15分、30分と歩けるようになった例もあります。
- 「できないこと」より「できること」に目が向くようになる
庭の草むしりや買い物など、小さな「できた」を積み重ねていくことが大切です。
5. ミロク脳神経リハビリクリニックでの取り組み
当院でのリハビリでは、体の動きだけでなく、痛みとの向き合い方にも目を向けています。
- 痛みを我慢するものにしないという考え方
「痛いのは仕方ない」で終わらせず、どう付き合っていくかを一緒に考えます。
- 一人ひとりの生活に合わせたサポート
在宅でのリハビリなど、実際の生活場面に合わせた関わり方を心がけています。
- 必要に応じて認知行動療法の実施
その方に認知行動療法が適しているとセラピストが判断した場合、ご本人の同意の上で実施しています。
まとめ
ここまでの内容を、簡単に振り返ってみましょう。
- 痛みは、ケガや炎症だけでなく、脳や心の状態とも深く関わっています
- 「痛み→動かない→さらに敏感に」という悪循環が、痛みを長引かせる原因になります
- 認知行動療法(CBT)は、痛みの捉え方に少しずつ働きかける治療法です
- 動くことへの恐怖が和らぎ、「できること」が着実に増えていきます
- 当院では、運動療法とあわせてこうした関わり方を大切にしています
今、できることから始めてみませんか
痛みと長く付き合ってきた方ほど、一人で抱え込みがちです。まずは、話すことから始めてみませんか。
同じような悩みを持つ方は、決して少なくありません。完璧に治すことを初めから目指すのではなく、小さな一歩から試してみましょう。ご興味がありましたら一度、当院にご相談ください。