2025.10.22
脳卒中カフェを開催しました 〜 つながりを生むカフェ 〜
当院では、このたび「脳卒中カフェ」を開催しました。
とてもとても念願でした。
初めての試みということもあり参加者を限定し女性4名で開催しました。
初対面の方たちが集まるため「盛り上がるかな?」、「沈黙が続くのでは?」など緊張や不安があったのですが、笑顔と共感、学びが多く当初は1時間の開催を予定していたのですが、とても大盛況で延長し2時間の開催となりました。

■ 「脳卒中カフェ」とは?
脳卒中カフェとは、脳卒中を経験された方やそのご家族、あるいは地域の方々が気軽に「集まり、語り合い、学び合う場」です。
医療機関が主催する場と聞くと、どうしても「治療」や「練習」といった堅いイメージを持たれがちですが、脳卒中カフェの目的は少し異なります。
それは、「人と人とがつながることによって、心の成長を進める」ことにあります。医学的な治療が身体の回復を目指すものであるならば、脳卒中カフェは“社会参加”を進める場といえるでしょう。
退院後、社会や地域との関係を取り戻すことは決して容易ではありません。身体の機能が回復しても、「外に出るのが不安」「話すのが怖い」「周りに迷惑をかけたくない」といった心の壁が残ることは少なくありません。このカフェは、そうした壁を少しずつ溶かしていくための「小さな一歩」を支える場です。
■ 少人数だからこその“安心感”
今回は、定員を4名に限定しました。少人数でおこなう理由は、安心して話せる空間をつくるためです。人が多いと、どうしても自分の気持ちを打ち明けにくくなります。しかし、4人ほどの規模であれば、自然に会話が生まれ、互いの表情や言葉を丁寧に受け止めることができます。さらに女性限定とすることで女性ならではの悩みなども相談することができます。
参加者の多くは「脳卒中の発症後、同じ経験をした人と話すのは初めて」という方々でした。 「片手が思うように動かなくて」「最初は外出するのが怖かった」「辛いときにどうやって乗り越えたの?」といった声があちこちから聞かれ、場の空気が少しずつやわらぎお互いに聞きたいことなどを聞けるような雰囲気になりました。そこには、“病気を共有する”というより、“人生を分かち合う”温かさがありました。
■ 医療者と地域をつなぐ「対話」の場
今回のカフェでは、医師・看護師・理学療法士・作業療法士が同席し、専門的なアドバイスも交えながら進行しました。 たとえば「生活での工夫点」「家でできる簡単な運動」など、生活に密着した話題をもとに意見交換を行いました。
医療者が一方的に話すのではなく、参加者の声を中心に対話が進むのがこのカフェの特徴です。
参加者からは「普段聞けなかったことが聞けた」「みんなに直接相談できて安心した」といった声が多く聞かれました。
また、他の参加者の発言をきっかけに、自分の生活の課題や生活の工夫を再発見する場面だけでなく前向きになった方も見られました。
■ 「リハビリは続けるもの」から「暮らしの一部」へ
脳卒中のリハビリは、発症後3か月、6か月を過ぎても続けることが重要です。しかし、通院期間が終わると、「もうリハビリは終わり」と感じてしまう方も少なくありません。私たちは、リハビリを“終わるもの”ではなく、“暮らしの中に溶け込むもの”として考えています。
脳卒中カフェは、まさにその考えを体現する場です。
「外に出て人と話す」「共感し合う」「前向きな気持ちを持つ」
これらはすべて、脳の活性化を促し、治療効果を高める大切な要素です。
心の動きが、からだの動きを支えるのです。
■ 参加者の声から見えた希望
終了後には、以下のような感想が寄せられました。
・「同じ経験をした人と話せて気持ちが軽くなり前向きなった」
・「今の自分でもできることがまだまだあると気づいた」
・「病気の話だけでなく、笑える話もできて楽しかった」
・「また、是非開催してほしい!!」
このような言葉に、私たちスタッフも深く励まされました。リハビリは一人で頑張るものではありません。人とつながることが、前を向く力になります。この“共感の輪”こそ、地域リハビリテーションの真の原動力だと改めて感じました。
■ 今後に向けて
ミロク脳神経リハビリクリニックでは、今後も定期的に脳卒中カフェを開催していく予定です。より多くの方に安心して参加していただけるよう、テーマ別のカフェや、ご家族向けの 会、専門職との座談会なども企画していこうと思います。医療は、病気を「治す」だけでなく、人が「生きること」を支えるものです。 脳卒中を経験された方々が、再び社会や地域の中で笑顔を取り戻すために、私たちはこれからも寄り添い続けます。
■ おわりに
脳卒中カフェは、単なる集まりではありません。それは、病気を経験した人たちが再び自分らしく生きるための“場所”です。
小さな一歩が、確かな希望へとつながります。
ミロク脳神経リハビリクリニックは、これからもその一歩を共に歩んでいきます。

最後はみんなでトランプをしている図