2025.10.22
歩行再建を“あきらめない”ためのロボットリハビリテーション
皆さんこんにちは。外来リハビリテーション担当の理学療法士です。
わたしの担当回では、“歩行再建”をひとつのテーマに、これまでは装具療法について紹介させて頂きました。歩行(歩くこと)は、社会生活を送るうえで基本となる動作であり、リハビリテーションを行うなかでも主要な目標・モチベーションにされる方が多いです。
今回からは、『ロボット』による歩行リハビリテーションについて紹介させて頂きます。
“ロボット”
その言葉を聞くと、

一般的には、まずこのようなイメージを浮かべる方が多いのではないでしょうか。Honda社のASIMOの誕生は2000年であり、はや25年も経つんですね。
近年、急速なテクノロジーの発達によりAIやロボットなどは世界的な発展を遂げています。ファミレスなどでも、ロボットによる配膳が当たり前になってきていますね。医療・介護の現場においても、手術やリハビリテーションなどの補助をロボットが担うようになってきました。その種類や形状は多岐に渡り、今後もますます進化を辿っていくものと思われます。
Ⅰ.リハビリテーションにおけるロボット
脳卒中や脊髄疾患などにより手足の動かしづらさ(運動麻痺)が生じると、手で物を操作したり歩いたりといった日常生活動作に困難さが生じます。リハビリテーションでは、こういった日常生活動作の練習を中心に行うことが多いため、運動麻痺の程度によっては効率的なリハビリテーションが進みにくくなる場合があります。そこで運動麻痺が生じた身体の部位にロボットを装着し、ロボットの力で自らの運動を補助することで、様々な動きを効率的に行うことを可能にします。脳卒中治療ガイドライン2021(日本脳卒中学会)においても、上肢機能障害や歩行障害に対するロボットリハビリテーションの有効性が示されており、従来のリハビリテーションにロボットを組み合わせながら実施することが推奨されています。
Ⅱ.ロボットを用いた歩行リハビリテーション
歩行の補助を行う道具といえば、身近なものでいうと杖であったり、その他にも下肢装具や歩行器、電気刺激など様々なものが挙げられます。それぞれ形や用途・使用法は異なりますが、共通するのは歩行を「安全に」「効率的に」行うための道具であるという点です。歩行は、健康なときは当たり前に何気なく行う動作ですが、なんらかの障害により歩行が困難になると、以前のように “自分らしく、かっこよく、より遠くまで” 『歩きたい』という思いを持つ方が大半です。ロボットは、そんな方々の思いを実現するべく、効率的な歩行リハビリテーションを可能とし、一度に歩く距離や歩く速度、歩幅などを向上させることが国内外の様々な研究によって明らかにされています。
Ⅲ.当院での導入について
当院でもロボットによるリハビリテーションを患者さんに提供できるように、複数の業者さんに情報交換やデモ機器のレンタルなどを協力いただきながら検討を重ね、晴れて2025年7月よりロボットの導入が実現しました。今回導入させて頂いたのは、Assist Motion社のcurara®️という歩行支援ロボットです。様々なロボットが世にあるなかで、装着の簡便さや操作性、患者さんへのフィードバックにしやすさ等の特徴が、当院のリハビリテーションに合っていると感じ導入を決定しました。患者さんの病態・症状に合わせて仕様変更できるため、脳卒中後の後遺症やパーキンソン病をはじめとした脳神経疾患の方の歩行リハビリテーションにどんどん活用していきたいと思っております。

そして先日、Assist Motion社のホームページにて当院の紹介記事を掲載していただきました!ぜひ下記のリンクからご覧ください。
https://assistmotion.jp/case/10927/
今後のブログでは、当院におけるロボットリハビリテーションの実際を紹介していきますので、ぜひお楽しみに!