zarazara

2024.02.06

障害克復に向けて2

前回のブログの続きです。

「箸が使えるようになりたい」を例にしてなぜ、マンツーマンの個別治療プログラムを一貫してるのかを説明します。


・目標設定

・正確な予後(最終的にどのくらまでよくなりそうか)予測

・治療プログラム作成

・成功体験の積み重ね

・フィードバック

が大事だと申しましたがそれを少し具体化してみます。


・目標設定

→今は右手がうまく使えないけど、頑張って動かして箸が持てるようになりたい


・正確な予後予測

→画像から脳の残存機能を推測します(同じ脳出血でもどこの場所にどのような形で出血しているのかで最終的な予後が変わってきます)

さらには発症からどれくらいの時間経過なのか、これまでどのような治療を受けてきたかなどの背景や現在の症状を照らし合わせて

最終的な予後予測をたてます(この時点でさすがに箸を持つところまでは難しいと判断した場合、残存機能から考えられる最大の予後はどれくらいかというの

しっかりお伝えすることも私たちの大切な役目だと思っています)。


・治療プログラム作成

→箸を持つようにするには手首の痙縮が邪魔してるなあ、ボツリヌス療法も検討しておくか。

肩の動きも悪くて手が伸ばせていないのでここは可動域訓練が大事だなあ。

痙縮のある程度改善してきたら、電気刺激やロボットを併用しながらより実用的な訓練に移行していくか。

さらに自宅での自主訓練プログラムも作っていこう。 etc


・成功体験の積み重ね

→テストでもどんなに頑張っても0点しかとれないテストを必死で頑張ろうとは誰も思わなくなりますし、逆に全く努力しなくても軽く100点とれてしまうと怠慢になってしまう事があります。

リハビリも同様で、ある程度達成可能かどうかギリギリくらいの目標を設定して、時には失敗をしながら最終的に成功の回数が増えていくような課題を繰り返していきます。

(まずは手を伸ばして机のペットボトルをとってみましょうなどです)。

一つの課題がクリア出来たらさらに、次の課題へと難易度を調整しながら目標を共有していきます。

失敗したら、なぜ失敗したかを検討し、肩の動きが悪いから、痙縮が邪魔してる、痛みがあるなどの原因を探り

それを解決させていきます。


・フィードバック

成功体験を積み重ねていけば当然、機能的にも改善が見られ、徐々に最終目標に近づくわけですが

ここで的確なフィードバックというのが大事になります。

患者さんが自分で「どんどん良くなっている」と実感することはあまり多くありません。

(子供が自分で身長が伸びているという自覚はないけれど、昔の写真を見たり、身長計に乗ると成長が実感できるような。。)

そこでリハビリ開始時などの状態を動画やデータに残しておいて、それを現在の状態と比較してもらう、などの手段が非常に有効と言われています。

これを行う事で患者さんや周りのご家族も「あ。こんなに良くなってたんだね、もう一息頑張ろう」に繋がります。


この一連のサイクルを何度も繰り返すことで、最終的に目標にしていた箸が使えるに到達できるようになるというわけです。


これだけの過程を経るうえで、わずかな患者さんの変化を逃さず適切な難易度の訓練を提供していくという事は必須であり

そのためにはマンツーマンの個別対応でないと難しいと言わざるを得ません。


当院は「リハビリクリニック」に重点をおいている以上、患者さんの待ち時間の軽減など最大限の対策を

今後も洗練させていきますし、スタッフの増員も含めて動いております。


試行錯誤な部分も未だ多くございますが、当院でリハビリをするからには少しでも高い満足度の結果を出したい。その思いで

日々診療に励んでおります。 なにとぞよろしくお願いいたします。