2025.05.01
フレイルとリハビリテーション
平均寿命が延び、超高齢社会を迎えた日本では、年をとってもできる限り健康でいたいという願いを誰もがもっていると思います。しかし、現状は医療の進歩で平均寿命は延びましたが、「健康寿命」はそれほど延びていないのが現状です。スウェーデンの研究では、40年間で寿命が10年延びているのに対し、健康寿命はわずか2年しか延びていないとされています。つまり、不健康・要介護状態で過ごす高齢者が増加しているということです!
不健康状態を短縮するためには、「フレイル」を予防することが大切です。朝ドラの「おむすび」を見ていた方は、フレイルをご存知かもしれませんね。少し、フレイルについて説明したいと思います。
フレイルとは、加齢により心身が老い衰えた状態のことです。健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体機能や認知機能の低下が見られる状態です。フレイルには「身体的フレイル」「精神的フレイル」「社会的フレイル」の3つがあり、どのフレイルも要介護状態を予防する上で大事な要素です。
そのフレイルを予防するために、まずは規則正しい生活です。健康を維持する土台といっても過言ではありません。できる限り決まった時間に睡眠・食事を摂ることが大切です。難しいという方は、まずは昼食の時間を定めてみてください!そうすることで、徐々に夕食、就寝時間、起床時間、朝食の時間が定まってくると思います。1日のスケジュールを決めるのもいいですね!
今回は、社会的フレイル予防の大切さについてお話ししようと思います。
社会的フレイルとは、家族や友人・知人との交流機会が減少するなど社会的に脆弱な状態にあることを示します。最近は、コロナ禍等の感染症対策でさらに交流の希薄化が進んだのも事実です。ここで一つ、セルフチェックをしてみましょう。
・近所付き合いはありますか?
・誰かと同居はしていますか?
・何か活動(ボランティアや体操教室など)には参加していますか?
どれにも当てはまらない方は要注意ですね。人との交流の機会や外出機会の減少により、認知面も身体面も衰えてしまい、転倒しやすくなったり、買い物に行く機会が減少すれば低栄養の危険性もあります。
反対に、活発・活動的な方は身体機能の向上や認知機能低下防止に繋がり介護予防につながっています。1人で閉じこもるのではなく、社会参加が大切だということです。
最後に、当院でのリハビリでは、ただ歩けるように・腕が動くようにを目指しているわけではありません。歩けるようになって、旅行へ行く・買い物に行く・散歩をする・地域の活動に参加する。腕が動くようになって、家事をする・孫の世話をする・デイサービスでみんなと同じように拍手をするなど「社会参加」を目標にリハビリを行なっています。
そのためには、リハビリ以外の自分の時間もどう使うかが大切になってくると思います。私は、地域リハビリに携わりまだ数ヶ月しか経っていませんが、リハビリの時間以外に自分でストレッチをしている人、運動している人、ベッドで過ごしている方はできるだけ長く座っていること やっている人とやっていない人とでは差が出ることを実感しています。スポーツ選手のような運動が必要なわけではありません。自分の目標に対して、今何が必要なのか、元気な方も要介護を予防するために一緒に注意していきましょう!