zarazara

2026.01.29

天気と頭痛と五苓散

「この時期雪がふるとダメ」 「台風が近づくと、頭が重くて何も手につかない」 こうした「天気による体調不良」に悩まされている方は、決して少なくありません。かつては気のせいだと言われることもありましたが、今や医学の世界では、気圧の変化が体に与える影響は科学的に説明できるものとなっています。

今回は、なぜ天気が崩れると頭痛が起きるのか、その意外な原因と、私たちが日常生活で取り入れられる解決策について詳しくお話しします。


1. 「天気のせい」は、実はとても一般的な悩み

まず知っていただきたいのは、同じ悩みを持つ人は非常に多いということです。 片頭痛に悩む約1,200人を対象とした調査では、実に53.2%もの人が「天候の変化」を頭痛のきっかけとして挙げています。これは、ストレスや寝不足、食事の偏りなどと並んで、頭痛を引き起こす大きな要因のトップ4に入っています。

つまり、天候によって体調を崩すのは、特別なことではなく、私たちの体が気圧という「目に見えない圧力」に敏感に反応している証拠なのです。


2. 犯人は「脳の微細なむくみ」だった

では、気圧が下がると体の中では何が起きているのでしょうか。 キーワードは「むくみ」です。

私たちの体の約60%は水分でできています。通常、この水分は細胞の内側と外側で絶妙なバランスを保っています。

しかし、低気圧がやってくると、私たちの体にかかる外側からの圧力が弱まります。すると、相対的に体の中から外へ押し出す力が強まり、血管から水分が染み出しやすくなるのです。

特に脳の組織において、この水分のバランスが崩れて「微細なむくみ」が生じると、周囲の神経を圧迫します。脳を包んでいるケース(頭蓋骨)は硬くて膨らむことができないため、わずかなむくみでも圧力が上がり、それが「ズキズキ」とした痛みとなって現れるのです。

3. 水の通り道を整える「五苓散」の知恵

この「水分の偏り」を整えるために、古くから使われてきたのが「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬です。

名称的にはかなり有名かと思います。

五苓散は、5つの生薬(タクシャ、チョレイ、ブクリョウ、ビャクジュツ、ケイヒ)を組み合わせた薬ですが、

その働き方は非常にスマートです。

一般的な「利尿剤」は、とにかく体の水分を外へ追い出そうとします。しかし、五苓散の役割は「水の調整役」です。

細胞の壁には「水の通り道」が存在しますが、五苓散はこの通り道の働きを調節してくれます。

水が溜まりすぎている場所(脳のむくみなど)からは水分を逃がし、逆に水分が足りなくて喉が渇いているような場所には水分を保持させます。

「余分な水だけをさばく」というこの知恵は、現代医学の視点で見ても、低気圧による頭痛対策として非常に理にかなったアプローチなのです。


4. 耳の奥にある「気圧センサー」の存在

もう一つ、気圧頭痛に深く関わっているのが「耳」です。 耳の奥にある「内耳」には、気圧の変化を敏感に察知するセンサーがあります。気圧が急激に変化すると、このセンサーが脳に信号を送りますが、その刺激が強すぎると自律神経が混乱してしまいます。

自律神経が乱れると、血管が急に広がったり、逆に縮まったりします。これが脳の神経を刺激し、頭痛やめまい、だるさを引き起こすのです。 つまり、「脳のむくみ」と「耳のセンサーの乱れ」が合わさることで、雨の日の辛い症状が生まれていると言えます。


5. 今日からできる「低気圧対策」の3ステップ

メカニズムがわかれば、自分たちでできる対策も見えてきます。無理のない範囲で、以下の3つの習慣を試してみてください。


① 「くるくる耳マッサージ」でセンサーをケア

内耳の血流を良くすることで、気圧センサーの過敏さを和らげることができます。

  • 両耳を軽くつまみ、上・下・横に5秒ずつ引っ張ります。
  • そのまま耳を後ろにゆっくり5回まわします。
  • 耳を包むように折り曲げて、5秒間キープします。 これを朝・昼・晩と行うだけで、耳周りの血流が整い、気圧の変化に強い体を目指せます。

② 「早めの対処」が何よりの薬

頭痛がひどくなってからでは、薬も効きにくくなります。気圧予報アプリなどを活用し、空が怪しくなってきた段階、あるいは「なんとなく頭が重いかな?」と感じたタイミングで五苓散などを活用するのが、痛みの波を小さく抑えるコツです。


③ 湿気と上手に付き合う

湿度が高いと、体から水分が蒸発しにくくなり、体内に余分な「水」が溜まりやすくなります。雨の日は除湿機を活用したり、お風呂でじんわり汗をかいたりして、体内の水の巡りを助けてあげましょう。


「雨の日は頭痛で何もできない」これは気のせいではなくしっかりとした症状です。

自分の体の仕組みを知ることで、辛い時間を「自分をケアする時間」に変えていくことができます。


お困りの方は一度ご相談を。