zarazara

2024.11.24

認知症の新しい治療薬

以前のブログでは認知症、MCIの概念についてお伝えしました。

お薬、リハビリなど様々な治療がある中で今回は、世間で注目されている新薬「レカネマブ(商品名:レケンビ)」について簡単に説明します。


レケンビ(レベチラミン)は、アルツハイマー型認知症の症状緩和(進行をおさえる)ために開発された薬です。この薬は、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンのレベルを増加させることで、認知機能の改善を促進します。アセチルコリンは、記憶や学習に関与する重要な化学物質であり、その欠乏が認知症の症状を悪化させる要因となります。

レケンビは、アセチルコリンエステラーゼという酵素の働きを阻害することで、脳内のアセチルコリンのレベルを維持します。これにより、神経細胞間のコミュニケーションが改善され、認知機能の低下を抑える効果が期待されるとされています。


治療が功を奏すれば認知機能の改善に至る場合もあるとされています。


しかし現在ではその適応は限られた患者様だけになっています。


具体的には「軽度認知症(認知機能低下:MCI)」であることです。

MMSEという認知症簡易評価検査で30点満点で22点以上であって、生活全般が自立していること。

MRI検査で脳に出血しやすい所見などがないこと。

アミロイドβというアルツハイマー病に特徴的な物質を認める事(PET-CTや腰椎穿刺など)。


が主な条件になってきます。


さらに、薬には必ず副作用が伴います。レケンビの最も注意すべき副作用に脳出血や脳浮腫を起こしやすいというものがあります。

そのため、投与前に現在の脳の状態を評価しておくことが大事になるわけですね。


このように新薬であるからこそ様々な制約やリスクは伴いますが、今後治療効果がさらに浸透することでより身近な治療選択肢になっていく可能性はあります。


当院での投与はできませんが、適応があると判断される患者様には、十分な説明を行ったうえで、連携している治療可能な病院をご紹介させていただきます。