2023.05.21
めまいのリハビリについて
脳外科の外来でよく「めまい」の患者さんが来院されます。
頭と言えば「頭痛」のイメージが強いと思いますが、めまいというのも大事な症状で、場合によっては生活や仕事に支障をきたすこともあります。
ですがめまいの原因は多岐にわたります。
脳外科なのか耳鼻科なのか内科なのか。原因の特定が簡単ではないことも
この症状の難しいところになっています。
ではその原因についてザックリとまとめてみます
(本当にザックリです)
- 脳:脳卒中(特に小脳という部分の脳出血や脳梗塞など)脳腫瘍など
- 耳:メニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎など
- 心臓:不整脈に代表する血圧変動など
- 自律神経系:調整障害など
- その他薬の副作用、貧血など
こう見ただけでも様々な原因があるのがわかります。
さらにこういった明確な診断がつかないことが多い
というのもめまいのやっかいなところです。
私は脳外科医ですので、脳の立場から見るとめまいが主訴で脳梗塞や脳出血だった方も少なからず経験しておりますので、まずは一度はMRIなどで
脳の検査を受けることをおすすめします。
入院したうえでしっかりと治療を受ける必要がある疾患
いわゆる"red flags"を否定することが重要になります。
こういった診断を経て、治療を開始していくわけですが
治療後はめまい症状が遷延する方も少なくありません。
内服薬での治療などもあまり功を奏さない、となった時に
「前庭リハビリ」、いわゆるめまいに対するリハビリというのも選択肢になってきます。
日本ではまだまだなじみのない分野ですが
最近では理学療法士さんを中心に学会がたちあがるなど積極的に
活動が行われてきており、めまい治療のスタンダートとして認識される日も
近いと確信しております。
そもそも前庭ってなんですか?
前庭器官というのが、耳の内側の方に存在していて体の位置や動きを感知し、脳に伝える役割をしています。ヤジロベー(ドラゴンボールのキャラじゃないですよ)を想像するとわかりやすいですね。
前庭機能障害があると、体の位置や動きを正確に認識できなくなり、めまいや平衡障害を起こすことがあります。
つまり前庭リハビリは、前庭機能障害によって引き起こされるめまいや平衡障害に対して行われるリハビリ治療です。
頭や眼の運動、姿勢矯正、立位や歩行などの練習を行い、前庭器官の機能回復や代償機能の向上を図ります。一度の介入で効果が得られる場合もありますが基本的には継続的な訓練が大切です。
訓練を続けることで、前庭器官の機能回復や代償機能の向上が期待できます。
症状の改善によって、日常生活や運転などの自信につながる場合も少なくありません。
ミロクリハでは適応があると判断すれば前庭リハビリも積極的に
行っていくつもりでスタッフと共に勉強中であります。
もうすぐ足場外れます