2025.05.08
頭部MRIってどんな検査?(part2)
前回の「頭部MRIってどんな検査(Part1)」では、MRI検査の音や時間、特徴について簡単にご紹介しましたが、今回は「MRIはなぜ狭いトンネルの中で検査するのか?」その理由について出来るだけ分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
〇MRIはなぜ狭いトンネルの中で検査するの?
MRI検査を受ける際に、「トンネルが狭くて怖い」と不安に感じる方が多くいらっしゃいます。ではなぜMRIは狭いトンネルの中に入って検査をするのでしょうか? その理由について簡単にお話していきます。
前回MRIの原理ついて少し触れましたが、MRI検査は、強い磁石による磁場の力と電磁波を利用して身体から発生する微弱な信号を装置で受信収集して体内の情報を画像化しています。磁場の力と電磁波によって、身体から微弱な信号を発生させる過程において、身体全体に均一な磁場の力と電磁波を伝えるためにはトンネル状の形状が適しています。目的とする部分に均一な磁場の力と電磁波を伝えることで発生する信号のムラやノイズが少なくなり、結果としてボケや歪みのない画像を得ることができため、病変や異常を正確に見つけることが可能になります。
また、「トンネルが狭い」理由としては、先ほどと同様で、身体に磁場の力と電磁波を均一に伝えるために、なるべくトンネルと身体との隙間があかないように狭く作られています。これは隙間を狭くすることで、身体の奥(中心)の方まで磁場の力と電磁波を均一に伝えることができるからです。以上の理由からMRIは狭いトンネルの中で検査をすることで、診断に有効な鮮明な画像を撮ることができています。
MRI装置の種類によっては、「トンネル型」ではなく「オープン型(サンドイッチ型)」と呼ばれる形状の装置があります。トンネル型に比べて、身体の両側が空いているため閉塞感が少なく、閉所などの狭いところが苦手な方でも検査を受けやすいメリットがありますが、使用する磁石の強さが弱く、画像の鮮明さが低下し、それを補うため検査時間が長くなる傾向があります(最近ではオープン型でも非常に強い磁場を有する装置もありますが、一般的ではなく非常に高額である)。
したがって、頭部MRIのような非常に細い血管の状態や小さな病変や異常を確認する検査では、一般的にトンネル型のMRI装置が使われています。
当クリニックでもトンネル型のMRI装置を使用しています。1.5T(T(テスラ):磁石の強さを表す単位)という強い磁石を使った装置で短時間の検査で非常に鮮明な画像を撮ることができます。また、トンネル内はLEDライトでぼんやりと明るく、風が流れていて呼吸がし易く緊張感を和らげるような作りになっています。また、検査中トンネル内の声は、外の操作室に聞こえるようになっていて、検査スタッフが常に確認しているので、何かあれば直ぐ対応できるようにしています。
その他にも当クリニックでは、狭い所など閉所が苦手な方が出来るだけ安心して検査を受けていただけるように以下の対策を行っています。
1.検査前の丁寧な説明
MRI検査の内容や検査時間について事前に詳しくご説明し、検査に対する不安や疑問を少しでも解消していただきます。※検査スタッフに何でも聞いてください!
2.明るい検査室
MRI検査室内の照明や雰囲気を明るくすることで、緊張を和らげリラックスできる空間作りをしています。
3.同伴者の許可
小さいお子様や一人で検査をするのが怖い場合は、ご相談のうえご家族やご友人の方とご一緒に検査室に入って検査することが可能です。
4.抗不安薬の使用
強い恐怖や不安を感じる場合は、医師の判断のもとで気持ちを落ち着かせる薬を使用して検査することも可能です。
このように閉所が苦手な方でも安心してリラックスしながらMRI検査を受けていただけるように最大限の配慮をしていますので、今までMRI検査が怖くて出来なかった方や苦手な方は是非当クリニックに一度ご相談ください。
いかがだったでしょうか。今回は「MRIはなぜ狭いトンネルの中で検査するのか?」について簡単に説明させていただきましたが、この説明が少しでも安心してMRI検査を受けていただける手助けになれば幸いです。次回の私のテーマは「MRI検査を受けるときの注意点など」について説明していきたいと思いますが時期は院長の気分次第なので気長にお待ちください。