2026.09.10
当院における歩行ロボットリハビリテーション
皆さんこんにちは。外来リハビリテーション担当の理学療法士です。
9月で一気に寒くなってきました。
以前のブログでは、『ロボット』による歩行リハビリテーションの概要について紹介させて頂きました。今回は、当院における歩行ロボットリハビリテーションの実際を紹介していきます!
●当院における歩行アシストロボットの導入と活用
当院のリハビリテーションは、正確な予後予測と明確な目標設定に基づいた『動く』可能性を最大限引き出すアプローチを基本方針としています。リラクゼーション目的の介入は行わず、まず動作を診たうえで問題点・課題を抽出し、都度目標共有やフィードバックを行いながら伴走支援していきます。当院では、患者さん・利用者さんの「今よりも上手に歩きたい」「遠くまで、長く歩きたい」「かっこよく歩きたい」などの思いに寄り添い叶えるべく、歩行アシストロボット2機を導入しました!
1. 歩行支援ロボット curara®️(Assist Motion株式会社製)

使用者の実際の動きに合わせるように同調制御を用いてアシストを行う歩行支援ロボットです。両側の股関節・膝関節の計4関節の動きをサポートし、使用者に合わせて仕様をカスタマイズすることが可能です。通常の歩行のデータに基づき、関節ごとに曲げる・伸ばすのアシスト量を調整することで、スムーズな歩き方へ動作を補助することが期待できます。歩行評価やアシスト内容の調整、歩行動作のモニタリングやフィードバックは全てスマートフォン端末上で行うことができ、長期間の継続したトレーニングによる歩行データの経時的な推移を確認可能です。

2.歩行リハビリテーション用ロボティック装具 ino Gear HE-1®️(株式会社INOMER製)
ワイヤーアクチュエーターの力により片麻痺患者さんの歩行補助を行うロボティック装具です。体幹下部・麻痺側の殿部・大腿部の3カ所を固定し誘導することで、片麻痺の歩行で生じやすい骨盤や殿部の後退を抑制し、姿勢を保ちながら股関節を伸ばすことを誘導できます。アシストの位置や強度などは多段階的に調整でき、高い再現性のある歩行の補助が実現可能です。

この2つの機器に共通する特徴として、他の治療手段と併用して活用できる点が挙げられます。歩行リハビリテーションにおいて高い有効性が示される機能的電気刺激療法や装具療法などにロボットアシストを組み合わせることにより、より高精度でバリエーションに富んだトレーニングを提供することが可能となります。さらにこれらの機器は、着脱や使用に要する時間・手間が非常に少ないことが大きな利点であり、リハビリクリニックの限られたマンパワーや介入時間のなかでいかに効率的なトレーニングを行うかということに適しています。
生活期の歩行リハビリテーションではどうしても、劇的な機能的改善が難しく日々のトレーニングも恒常化・定型化しやすいことが一つの課題であります。その中でロボットによる動作誘導や客観的な歩容フィードバックは患者さんからも好評であり、トレーニングに対するモチベーション向上にも繋がっていると感じます。
●今後の展望―地域医療への応用可能性
リハビリテーション医療において様々なロボットが普及している中、地域医療においてはまだまだロボットが浸透しているとはいえません。機器も小型・軽量化が進み、患者自身で装着したり在宅場面で使用できるものも増えています。テクノロジーの進化をもっと地域に還元できれば、生活期リハビリテーションの質をさらに向上させていくことが可能になると考えます。
当院では、通所リハビリテーションでの自主練習場面や、屋外・在宅での歩行トレーニングなどにロボットの活用を試みています。担当療法士が機器の装着・設定を済ませてしまえば、トレーニング中はセラピストの介助・誘導にロボットが取って代わることも可能です。歩行機能が上がれば、“ロボットを着けて何処かへ歩いて行く”ような、リハビリテーション機器としてに留まらず、ロボットを生活の一部そのものとして社会参加を支援できる未来を作っていけるのかもしれません。
●医学雑誌への掲載
この度、『月刊 新医療』さまより執筆依頼をいただき、当院での歩行ロボットリハビリに関する記事を掲載いただきました!

当院リハビリ室の書棚に置いていますので、待ち時間などに是非ご一読ください。
●おわりに
我々の生活に多くのAI・ロボット等のテクノロジーが普及・発展するなか、医療・介護においてもそれらをいかに使いこなすかということが求められます。特に生活期リハビリテーションにおいてはまだまだ未開の地であり、当院でも導入してから年月がまだ浅いです。ロボットアシストを一つの手段として、リハビリの評価・治療技術の標準化・効率化を図るとともに、今ある根拠をしっかりと整理しさらに新たな根拠を創造・構築していけるよう、スタッフ一同取り組んで参りたいと思います。
ロボットリハビリにご興味のある方は、医師・スタッフへ気軽にご相談ください!