2026.04.29
パーキンソン病とリハビリ ーLSVT BIG認定理学療法士が新たに誕生しましたー
こんにちは!理学療法士のKです!突然ですが、皆さんは「パーキンソン病」という病名をご存知でしょうか?
今回は、パーキンソン病とそのリハビリについてお話ししたいと思います。また、近年国際的に注目されている運動療法の「LSVT BIG」についてご紹介します。
●パーキンソン病とは?
パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質「ドーパミン」が減少することで、体をスムーズに動かす機能が障害される病気です。
主な症状には、
・手足のふるえ(振戦)
・動作が遅くなる(動作緩慢)
・筋肉のこわばり(固縮)
・歩き出しの難しさや小刻み歩行(すくみ足)
などがあります。
進行性の病気ではありますが、薬物療法に加えて適切な運動療法を継続することで、動作や生活の質の改善が可能です。
●世界で広がる「パーキンソン病パンデミック」
近年、パーキンソン病の患者数は世界的に急増しています。
高齢化の影響もあり、過去25年で患者数は2倍以上に増加。(図1)

研究者の間では「パーキンソン病パンデミック」と呼ばれるほど深刻な社会的課題になっています。日本でも患者数は約30万人を超え、今後さらに増加が予想されています。そのため、薬だけに頼らず、「発症後の生活をどう支えていくか」が大きなテーマになっています。
●LSVT BIGとは? ― “大きく動く”ことで脳を再教育する
LSVT BIG(エルエスブイティ・ビッグ)は、アメリカで開発された科学的根拠に基づくパーキンソン病特化型の運動プログラムです。LSVT LOUD(エルエスブイティ・ラウド)という、言語障害に対しての治療が元になっており、小さくなった動作やすくみ足を改善するために、「大きく動く」ことを繰り返し練習します。
このプログラムは、脳が「大きく動く感覚」を再び学び直す(再教育する)ことで、日常生活でも自然と大きな動作を取り戻すことを目指します。
LSVT BIGの特徴は次の通りです。
大きな動きを集中的に個別で練習する(週4日を4週、1日60分)
運動だけでなく、感覚に対しても治療を行う
機能だけでなく、日常生活動作(歩行・起立・姿勢)に直結した内容
●高いエビデンスレベルに裏付けられたリハビリ
LSVT BIGは、ランダム化比較試験(RCT)を含む複数の国際研究によって効果が確認されており、エビデンスレベルA(最も高いレベル)の運動療法として、欧米のパーキンソン病治療ガイドラインに位置づけられています。
これらの研究では、LSVT BIGを受けた患者が、歩行速度、歩幅、 動作のスムーズさ(動作緩慢の改善)、日常生活動作スコア(UPDRS)
などで有意な改善を示したことが報告されています。
つまり、LSVT BIGは「効果が科学的に証明されたプログラム」として、世界的にも信頼されています。
● 当院のLSVT BIG治療プログラムについて
先日、私もLSVT BIG認定理学療法士の資格を取得することができました。この資格は、米国本部が定める国際的な教育課程と試験を修了した者のみが取得できるもので、高度な知識と技術を持つ証です。

LSVT BIGのプログラムは、先ほどの特徴でもお話しした通り、週4日×4週間(合計16回)、1回60分の個別リハビリとして実施します。集中的に取り組むことで、脳と身体の再学習を最大限に引き出すことを目指します。また、自宅でも毎日の宿題(自主トレ)を欠かさず行なっていただきます。
非常に効果的なプログラムですが、すべてのパーキンソン病患者さんが対象となるわけではありません。プログラム開始前に、認定理学療法士が運動機能・認知機能・体力などを丁寧に評価し、適応を判断します。もしLSVT BIGが適応外であっても、当院では現在の身体機能に合わせた個別的なリハビリプログラムを実施し、最適なサポートを行います。
当院以外にもLSVT BIGの実施ができる施設が紹介されていますので、こちらからご覧ください。
https://nur.ac.jp/lsvt/lsvttherapies/
●最後に
パーキンソン病は進行する病気ですが、「進行=できなくなる」ではありません。
LSVT BIGをはじめとする運動療法により、動作能力の改善・転倒予防・自立生活の維持は十分に可能です。
「最近動きが小さくなった」「歩くのが怖くなってきた」――
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。