zarazara

2024.12.20

ロコモを知ろう

みなさん、“ロコモ”という言葉を知っていますか?つい、ハワイ名物の丼ものを連想してしまいそうですが・・・。

決してそんな美味しいものではありません。

ロコモとは“ロコモティブシンドローム”の略称であり、2007年に提唱された概念です。

日本整形外科学会によると、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」と定義されています。

運動器というのは、人間の身体を構成する筋肉・骨・関節・軟骨・椎間板などのことを指します。

こういった部分に何かしらの障害が起こったり弱ったりすることで、立ったり歩いたりする機能が低下してしまうことを、ロコモティブシンドローム=ロコモと呼びます。

いまの日本は超高齢社会と言われており、高齢化率(総人口に対する65歳以上高齢者の割合)は2024年時点で29.3%です。高齢化率が21%を超え、高齢社会から超高齢社会へ突入したのが、まさにロコモの概念が提唱された2007年なんです。

なので今後も高齢化が急速に進んでいく日本において、これからもっともっと注目・認知されるべき言葉であるといえます。


ロコモになると、自分で歩いて外出をする、友人と交流するといった社会参加が困難になってしまうだけでなく、普段何気なく出来ている日常生活動作に支障を来し、要介護状態になるリスクが高まってしまいます。

そのため、介護予防の観点からもロコモ予防は非常に重要です。

実際、要支援・要介護状態になってしまう原因は、転倒・骨折や関節の病気など運動器の故障が多くの割合を占めます

(一番は認知症や脳血管障害なのですが)。

転倒や骨折をしてしまうと、治療のためにベッドから離れられない期間が続き、さらなる身体機能の低下や認知機能の低下を招いてしまうリスクが高まります。認知機能が低下するとさらに転倒リスクが高まるという報告もあり、深刻な悪循環に陥ってしまう可能性があるため、注意が必要です。


ロコモ自体は病気ではなく、自覚しにくいことが特徴の一つです。日常生活に支障はないと思っていても、気付かないうちにロコモになっていたり、すでに進行したりしているケースが多くあります。また、近年では高血圧などの生活習慣病を抱えている人は、運動不足が背景にあることも多く、ロコモになりやすいことも分かっています。気付かないうちに症状が進行していることを念頭に置き「自分はロコモかもしれない」という意識を持つことが重要です。

そこで今回は、誰でも簡単にロコモ診断ができる7つの「ロコチェック」を紹介します。チェック項目は以下の通りです。

 

片脚立ちで靴下がはけない

・家の中でつまずいたりすべったりする

・階段を上がるのに手すりが必要である

・家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)

・2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1Lの牛乳パック2個程度)

・15分くらい続けて歩くことができない

・横断歩道を青信号で渡りきれない

 

どうでしょう?

わたしやばいかも・・・と心当たりのある方も少なくないのではないでしょうか。これらの項目はすべて運動器が衰えているサインであり、1つでも当てはまればロコモの心配ありということになります。


ロコモの要因は、運動器の病気、運動器の能力の衰え、運動器の痛みなどさまざまです。これらの要因がつながったり合わさったりすることで、ロコモが進行し重篤化してしまいます。

ロコモと判定された場合、原因は何かを見極め、状態に合わせて適切に対処することが必要です。対処法には病気の予防、運動器の衰えに対する筋力やバランスのトレーニング、痛みや痺れに対する治療、栄養不足の改善などがあります。また生活習慣病の予防やその治療を合わせて行うことも必要です。


もし、ロコモかもしれないと不安を感じたり、足腰の衰えや痛みなどの症状がすでにある場合は放置せずに、かかりつけ医等お近くの専門家へ気軽に相談することをおすすめします。あ、もちろん当院でも構いません!

ロコモを適切に対処・予防し、いつまでも元気に生活するための身体づくりを心がけていきましょう。