2025.07.01
変形性膝関節症の症状と対策
-理学療法士が伝えたいリハビリの基本-
「階段の上り下りがつらくなってきた」「正座がだんだん難しい」。そんな膝の悩み、年齢のせいとあきらめていませんか?
この記事では、整形外科の診療やリハビリ現場でよく見られる。変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)について、症状や原因、そして日々の生活でできる対策について、お話ししていきます。
変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症は、膝の関節にある軟骨がすり減って炎症が起きる慢性疾患です。加齢によって発症することが多く、特に女性に多いのが特徴です。
症状は?
- 膝のこわばり(特に朝)
- 立ち上がりや階段の昇降での痛み
- 膝の腫れ、熱感
- 症状が進行すると、O脚が目立ってくることも
「ちょっと違和感があるな…」という段階から、気づいたときには歩行に支障が出ているケースも少なくありません。
なぜ起こるの?原因について
膝の関節軟骨は加齢とともに弾力を失い、繰り返しの負荷で徐々に摩耗していきます。以下のような要素が重なると、膝のトラブルが起きやすくなります。
- 加齢:関節の自然な老化
- 肥満:膝への負担が増える
- 筋力の低下:特に太もも前側(大腿四頭筋)の弱化
- O脚・X脚などのアライメント異常
- 過去のケガ(靭帯損傷・半月板損傷など)
リハビリがカギ。膝の負担を考慮しながら動く
整形外科のガイドラインや理学療法ガイドラインでも、運動療法は最も効果が期待できる治療法のひとつとされています。
「膝が痛いのに運動して大丈夫?」という声もよく聞きますが、正しく行えば痛みを減らし、進行を抑える効果があることがわかっています。
リハビリで重視すべき3つのポイント
① 太ももの筋力をつける
膝を支える大事な筋肉が「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」です。この筋肉が弱ると、膝の負担が増えてしまいます。
◎おすすめの運動:
- 椅子に座って脚を伸ばす「膝伸ばし体操」
- 壁に背をつけて軽くしゃがむ「壁スクワット」
無理のない回数から始めて、1日10~20回、継続して行うことが大切です。
② 膝にやさしい有酸素運動
自転車運動や水中運動は、体重管理にもつながる有効な手段です。
ただし、痛みが強い日は無理をせず、天候や体調に合わせて調整しましょう。週に3~5回、20分程度が目安です。
◎ 自転車運動やプールでの水中歩行は膝に優しく、初心者にもおすすめです。
③ 関節の柔らかさを保つ
膝の動きが悪くなると、歩き方や姿勢も崩れやすくなります。ストレッチを取り入れて、関節の柔軟性を保ちましょう。
◎ 膝の曲げ伸ばし練習や、太ももの裏(ハムストリング)のストレッチが効果的です。
痛みがあるときの過ごし方
- 長時間の正座や深いしゃがみこみは避けましょう
- クッション性のある靴やインソールで膝への負担を減らす
- 湿布やサポーターの使用も、痛みのコントロールに有効です
理学療法士によるアドバイスを受けながら、「やめる動き」「増やす動き」 を見極めることが改善への近道です。
食事と体重コントロールも忘れずに
体重が1kg増えると、膝への負荷は3倍以上になるといわれています。たった2~3kgの減量でも、痛みが軽くなったという報告もあります。
- 炭水化物や糖質を控えめに
- タンパク質を意識して摂る(筋力維持に大切)
- 水分はしっかり摂取
まとめ 膝を守るには「知る」「動く」「続ける」
変形性膝関節症は、早期からの対策と継続的なケアがとても重要です。
痛みで動かないことが、結果として症状を悪化させることも少なくありません。「できることから少しずつ」始めていくことで、将来的な手術の回避や生活の質(QOL)向上にもつながります。
ご自身の体の声に耳を傾けながら、焦らずコツコツと。
いかがでしたでしょうか?この記事を見ている方でも当てはまる方は多いのではないでしょうか。
次回も整形疾患についてまとめていきますので、ご一読いただければ幸いです。