2023.02.10
リハビリを取り巻く現状
リハビリを取り巻く現状は「とても厳しい」と言わざるを得ないのが正直なところです。
どのような側面から見ていくかにもよるのですが、単純に様々な制約に縛られています(医療行為全体に言える事ですが、、)
ただそれは国民皆保険という世界でも特異な制度を維持していく中で当然とも言えます。
患者さんの診療に対する対価やそのシステムは 医療保険では2年に1回、介護保険では3年に1回改定が行われており、そのたびに
私たちはその改定ポイントなどをしっかりと見直していく事になります。
そして6年ごとに医療介護同時改定があり、ここでは医療保険・介護保険共に時代に応じた制度に大きくシフト転換されることがあります。
次回同時改定は24年(もう来年だ。。)になるので、おそらくはポストコロナ時代の医療の在り方などが中心の改定になってくるのかなとは思ってます。
一応それをなんとなく予期しながら、あれこれ開業に向けて準備をすすめていくわけですが、リハビリに関しては本当に複雑です。
まずリハビリには特殊なシステムがあって訓練時間20分=1単位という概念があります。
私たちはこの単位数で会話します。
「今日はPT(理学療法)3単位(60分)入りますね」など。
19分でも21分でもなく20分です!
不思議ですよね(笑)
不思議ですけどこれが根底の基準です。
さて、
医療保険でのリハビリは主に「疾患別リハビリテーション」といいます。
- 脳血管疾患ー標準算定日数180日
- 運動器-150日
- 廃用症候群(様々な疾患で動く筋力体力が低下してしまう状態)-120日
- 心大血管-150日
- 呼吸器-90日
となっています。 標準算定日数とは「脳梗塞になってから180日間は医療保険でリハビリできますよ」というものです。 逆に180日を超えてしますと原則は医療保険でのリハビリは難しいという事になるんです。
原則なので、様々な条件を満たせば、継続することは可能ですが、単位数が月13単位までなど制限が設けられたりの制約がついてきます。
要するに、脳梗塞であれば発症から180日以内に全身管理、機能回復、生活での使用までを完結させましょうね。
という事になります。 重症度にもよりますが、中等度以上の患者さんではとても難しいです。
では、どうするのか。
ここで介護保険でのリハビリという事になります。
介護保険を申請し、介護認定がおりた場合(要支援1~要介護5)にケアマネジャーさんと共にケアプランを作成し
全身状態や生活状況、目標に応じた介護プログラムですすめていくことになります。
介護保険プログラムは多岐にわたります。
厚生労働省資料参考
これだけのサービスがあります。ケアマネさんには頭が下がります。
この中でよりリハビリに特化していて、当院でも実施予定のサービスは
- 通所リハビリテーション(デイケア、短時間型)
- 訪問リハビリテーション
になります。
これらのサービスの詳細については別途まとめてお知らせします。
ここでさらに考えなければならない原則があります。
それは医療保険と介護保険のリハビリは(同一診断名では)併用しちゃいけないということです。
これもまた複雑な制度が絡んでくるので全ての患者さんに当てはまるわけではありません。
が、簡単にまとめるとこんな決まりがあって、今後はさらに厳しい制度になっていくのかなと思っています。
病院で疾患別リハビリしてもらいながら、デイケアやデイサービスに通うのが難しくなるという事です。
なんでそんなことになるのか。
私もずっと疑問ではありましたが、色々な方面から勉強を深めていくと
それぞれの制度には意味があって決して不親切な側面ばかりではないということがわかりました。
私たちがやろうとしているデイケアや訪問リハビリは
そういう側面をしっかり踏まえた、少なくとも山形では初めてのサービスにできると自負しています。
そのために連日スタッフや関連職種の方との打ち合わせが続いています。
制度をしっかりと理解したうえで、それを最大限活かしたサービスを患者さんに還元する。
そのために自分で言うのもなんですが、結構毎日頑張ってます。
【リハビリ】という分野の可能性はまだまだ広いです。
ですが、その可能性を医療者自身が縮めてることもあります。
超急性期~在宅・終末期まで。
患者さんの様々なフェーズに寄り添う分野であるだけに、個人ができる働きは小さいです。
ですがその個人個人の意識や働きがしっかり重なって動いたときは、患者さんだけでなくその家族や地域も巻き込んだ
大きな波になる分野でもあると思っています。
【脳卒中をあきらめない】
【地域の中で新しい未来をつくる】
そのためには私たち医療者自身がリハビリの可能性を信じる事。
それが大切です。
本当にざっくりとですが、リハビリ制度の現状についてまとめました。