2024.12.14
片頭痛の新しい治療薬(CGRP関連製剤)
長年、多くの方を悩ませてきた片頭痛。
特に冬の時期は本当につらいですね。
その治療に、近年大きな進歩がありました。
それが「CGRP」という物質に着目した新しいタイプの治療薬です。
頭痛治療界隈ではすでに新たなスタンダードとして確立されており、今更最新というのも違うのかなとは思いますが、改めて少し説明したいと思います。
そもそもCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、体内で作られるタンパク質の一種で、神経伝達に関わっています。研究により、片頭痛の発症にCGRPが深く関わっていることが分かってきました。
片頭痛が起こる際には、三叉神経という顔面の感覚を司る神経からCGRPが放出され、血管を拡張させたり、炎症を引き起こしたりすることが分かっています。この血管の拡張や炎症が、片頭痛の激しい痛みを引き起こす要因の一つと考えられています。
そのCGRPの働きを抑えることで片頭痛を予防・治療する薬が、CGRP関連製剤です(頭痛の原因を根本からブロック!ですね)。
具体的には、以下の2つのタイプがあります。
- 抗CGRP抗体製剤:CGRPそのものに結合し、その働きを阻害する薬(例:エムガルティⓇ、アジョビⓇ)
- 抗CGRP受容体抗体製剤:CGRPが結合する受容体に結合し、CGRPの作用を block する薬(例:アイモビーグⓇ)
これらの薬は、どちらも注射薬です。予防接種の時のチクッってする感じです。
適応には以下のような方が対象とされています。
- 従来の予防薬(βブロッカー、抗てんかん薬など)で効果が不十分な方
- 従来の予防薬で副作用が強く出た方
- 月に4日以上片頭痛発作がある方(慢性片頭痛)
そしてCGRPを投与することにより、片頭痛発作回数の減少、痛みの強さの軽減、トリプタン(従来の頓服薬)の使用軽減が見込まれ、それによって学校や社会生活に対する悩みも少なくなるとの報告がなされています。
これが一番大きいですね。
コスト的に決して安くはない事、月1回程度の投与が必要になる事などから
その適応についてはかかりつけの先生としっかり相談をしてすすめる必要はありますが、
頭痛治療の新たなスタンダードとして覚えておきましょう!